11月11日の独身の日は中国のネット通販が最も盛り上がる日。タオバオ(taobao.com)が一日で1.7兆円の売り上げとのことだが、個人的には京東(ジンドン、jd.com)もタオバオに引けを取らない売り上げを上げているのではないかと想像する。特に欲しいものがない私だが、雰囲気(サイトのデザイン)や値下げ(半額!)つられて、前から気になっていたルービックキューブを数個購入した。
この話題は日本でも数多く報道されているようだが、どこも「中国のネット通販は偽物が4割」「PM2.5で外出したくない消費者がネットショップに向かう」といったネガティブ面ばかりが強調されている。一方で、この日を乗り切ったサイトのマネージメントや技術については日本では殆ど報道されていない。
一度でも中国のネット通販を体験した事のある人であれば、その利便性に驚くと思う。
- 買い主が納得して検収しなければ売り主に支払われない仕組み
- 非常に長いクーリングオフ期間
- ネット購入中のトラブルに対応してくれる24時間のチャットサービス
- 京東では配達する契約ドライバーの顔写真を教えてくれる
- 追加料金なしでの当日配送
などなど。その上サーバーがダウンする事なく、この独身の日の大量のサイトアクセスと決済を可能にしたシステムとその運営は驚くべきものである。間違いなく世界ナンバーワンの技術とノウハウがそこにあったのだと思う。
「日本のネット通販は進んでいる」「米国アマゾンの物流は世界一」と思っている方も多いのではないかと思うが、私はそうは思わない。人口が日本の10倍以上いる中国において、この独身の日を毎年乗り切る技術とノウハウは、毎年どんどん中国国内に蓄積されている。これは、日本人の勤勉さや協調性だけでは到底敵わないし、決して追いつく事はできない。また、そこに注目するような危機意識をもった日本の報道機関はない。
半導体や金型のような金型のみならず、ネットサービスのようなソフト面においても中国に遅れをとってしまう。これを打開するには、実践力を重視した「大学の学部を全部理系」「小学生から全員プログラミング教育」といった思い切った施策が必要だ。残された時間はそんなに長くない。
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